夏休み感想文ほか
- 2015/08/18
- 15:33
夏休み(フリーにそんなもんあるんか・・・といわれそうですが、
子供がいるのでなんとなく)は本を読もう!と思っていて、久しぶりに沢山よみました。
芥川賞受賞作
「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田啓介
面白いです。
殿方って体鍛える時割と徹底するんですよね。
女子はなんというかもっとふわっと?
家人は「筋肉と会話する」みたいなことを言って日々筋トレとか
やりながら二の腕まわりを測ってまんざらでもない顔していますが。
そんな感じの28歳が登場するんだけど、なんともまあオトボケキャラで、
若干ずれてるのね。死にたがってる(まだ呆けてないけど)結構要介護の
おじーちゃんをどう「苦しまずにしなせてあげるか」とか
自分の性欲を高めるためのエクササイズとか(ほんとにこんなことするのか?)
介護っていう結構暗い話題がブラックコメディーよりも明るい感じのくすくす笑いを
ひきおこさせる文章で、私は好きです。
男の子を産んだ母親の口が悪くなる言い訳(息子のせい)とか
じーさんの(普段は「あまくてやわかいもの」しか食べないのに)ピザを作るために
忍者のようにさささーっと台所を駆け抜けてしまう「技」とか
ちょっと太めの彼女のなんともリアルな感じとか・・・
ディテールがいいのです。
文章もするするっと読みやすくて、読後感も(これといったエンディングでもないんだけど)
悪くなく、こんなありきたり?の日常だからこそ共感してしまうのかも。
ドラマ化するには地味な話なのかもしれないけれど、映像があふれ出るのです。
音がものすごく聞こえるのです。爺さんの杖の音が耳から離れない。
芥川賞ってよくわからないんだけど(あはは)純文学もよくわからないんだけど
これは好きと素直に言える。
「火花」 又吉直樹
素直に好きと言えなかったのがこちらの大ベストセラー!
ねーねー、本買ったみんなー!ホントウにちゃんと最後まで読んだ??
村上龍が選評で言ってたけどちょっと長いじゃん。
山田詠美が選評で言ってたけどかなりウエルダンじゃん?
(これ以上いくとTOO MUCHな感じ?)
コトバ結構難しいし、文体もいかにも純文学だし・・・
何故これが100万以上(単行本と文芸春秋足したらそうなるよねきっと)の人が読んでるのか
日本人は何故突然こんな「高尚」な文章を愛でるようになったのか・・・
あ、意地悪っぽいですか(笑)
あたしは、正直よくわかりませんでした。
でもね、部分部分がすごい強烈なの。
神谷先輩の彼女真樹さんのその後のシーン、泣けるのよ。
もうキラキラしてて美しくて、主人公と完全にオーバーラップして。
スパークス(漫才コンビ名)のラストライブ、泣けるのよ。
冒頭の地味?なライブシーンとのコントラストがすごくて
小説なのに生で見てる感じ?になるくらい、汗とか熱気がページからあふれる感じ。
漫才の内容も途中からわけわかんなくなるんだけど(笑)
観客と一体化して寂しさと懐かしさと愛着とがいりまじってぐぐっときます。
合間ところどころに主人公をとりまくシーン描写にカップルがよく出てくる。
心中しそうな暗い感じとか、花火大会でプロポーズする幸せいっぱい!な人たちとか。
そのあたりの文章がすごく好きだった。
神谷さんが強烈すぎて(笑)最後なんてもうしんどくなってしまうけれど
まあなんていうかここまで壊れちゃうとそれがまた狂気でありコメディーなんだろうなって。
嫌とかいいながらちょっと癖になる感じ。
エッセイとは全然違う。(本屋で立ち読みした程度ですが)
エッセイは語り口が優しくて、人を大事にするお方なのねぇとか思ってしまう。
「本が好き」っていう「読書仲間」っぽい感覚でテレビ見てたから
突然作家になられてちょっとまだ慣れないのか(って全然知らない人ですが)
あたしも好きな太宰とか芥川が恐ろしい程詳しいし、
バラエティ番組で尾崎放哉の俳句がさらっと出てくる辺りなんか「ううーかっこええ!」
と痺れてしまう。
彼の「太宰ナイト」行ってみたい・・・。
そして今読んでるのが
「気にしない練習」 名取芳彦
ノンフィクション、とりわけ「自己啓発」ジャンルは不得意なんで
めったに読まないのだけど、最近ほんと「気にしい」になってしまい
ついついつっかかって、仲良しだった人と関係が壊れかけてたりして
そこをどうにかしたいと思って手にとった・・・・
のは後づけ。
昨日のゲリラ豪雨で雨宿りするべく飛び込んだのが本屋で、なかなかやまなくて
なんか買おうかなと思ってこの本のジャケの色がものすごく微妙な色で(ジャケ買いよくする)
「気にしない練習」なんてありえないし・・・とか天邪鬼的な感じで買いました。
あはは。
でもこないだ奈良に行って猿沢池淵でぼーっとしてたので
「手を打てば、鳥は飛び立つ、鯉は寄る、女中茶を持つ、猿沢の池」という法話紹介には
そうだなぁと感心。みんな共通の世界に住んでると思ってるし、同じものをみていると
思っているけどそれは別々のものである。一つの音(旅館で客が手を打った音)でも
受け取り方は千差万別、それを理解して時にスルーするってことなんだろうな
ってのは理解しました。
(「手を打てば はいと答える 鳥逃げる 鯉は集まる 猿沢の池」の方が主流みたい)
「気にしい」治るといいけど。
それ以外に
直木賞シリーズで
ホテル ローヤル 桜木紫乃
ラブホが軸になったオムニバスでちょっとずつつながってるっていう
手法の短編集。さらさら読めてしまいました。
どういうわけか一番ホテルローヤルと関係なかった「せんせぇ」っていうのが
印象に残ったわ。寂しい。さびしい。悔しい。どうしよう。でも仕方ない・・・。
何者 朝井リョウ
人気者リョウくん作品は青春色が強くっておばちゃんには遠い世界過ぎたのか
(「桐島・・」はキュンキュンできたんだけど)全然入ってこなくて・・・多分タイミングが
悪いのね。そして就活やってなかったからなぁとか色々言い訳をして・・・
きっと「今」ではないので「来るべき時」まで待機していただこう。
何故かワーワー夜中に泣いたのが
「ちょっと今から仕事やめてくる」 北側恵海
局辞める時、最後にちょっとつらいことがあったからか?
その時はガマンして一度も泣かなかったからか?
2時間足らずでハイボール2杯で読み終わったくらい
すいすい読めちゃう(会話多いし)お仕事話なんだけど
しかも営業職とか全然わからないし
内容も(多分酔ってたから)うろ覚えなんだけど
なんだろうか、読後感がいい。のだ。
強烈だったのは
「なめらかで熱くて甘苦しくて」川上弘美
この方の文章はもうね、なんなの。
最後のmundusはフランスのアート系映画よろしく
わけわかんないんだけどスタイルが抜群でもうこれこそ
文学なのね!としか言いようのない川上ワールド。
ぬめっとしててあったかくて怖くて懐かしい。
ところどころに出てくる / っていうマークは何??
こういうのが純文学なんだろうね。
わかろうとしてはいけない。
圧倒されるだけ。
本当は全く得意ではないんだけど次は
三島の「命売ります」を読もうかなーと。
秋になったら朗読会多分二つくらい都内でやります。
日本語と英語と。
会場は杉並某所。小さい小さいところです。
青谷のやりたい形がようやく見えてきたかな。
半年経ってじたばたしたけど
いろんなものが削げ落ちてきて
精神的にも無になれた(ような気がする)ので
そこからちょっとずつ積み上げていこうかと。
セミナーは9月にあります。
10月にワークショップやって東京はこれで年内おわり。
12月に名古屋でワークショップやりたいなと思ってます。
来年のこと考えるにはあまりにもまだ早い。
そして暑い。
秋風吹いたら考えよう。
アイスをとりあえず食べよう。
そして走ろう。
子供がいるのでなんとなく)は本を読もう!と思っていて、久しぶりに沢山よみました。
芥川賞受賞作
「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田啓介
面白いです。
殿方って体鍛える時割と徹底するんですよね。
女子はなんというかもっとふわっと?
家人は「筋肉と会話する」みたいなことを言って日々筋トレとか
やりながら二の腕まわりを測ってまんざらでもない顔していますが。
そんな感じの28歳が登場するんだけど、なんともまあオトボケキャラで、
若干ずれてるのね。死にたがってる(まだ呆けてないけど)結構要介護の
おじーちゃんをどう「苦しまずにしなせてあげるか」とか
自分の性欲を高めるためのエクササイズとか(ほんとにこんなことするのか?)
介護っていう結構暗い話題がブラックコメディーよりも明るい感じのくすくす笑いを
ひきおこさせる文章で、私は好きです。
男の子を産んだ母親の口が悪くなる言い訳(息子のせい)とか
じーさんの(普段は「あまくてやわかいもの」しか食べないのに)ピザを作るために
忍者のようにさささーっと台所を駆け抜けてしまう「技」とか
ちょっと太めの彼女のなんともリアルな感じとか・・・
ディテールがいいのです。
文章もするするっと読みやすくて、読後感も(これといったエンディングでもないんだけど)
悪くなく、こんなありきたり?の日常だからこそ共感してしまうのかも。
ドラマ化するには地味な話なのかもしれないけれど、映像があふれ出るのです。
音がものすごく聞こえるのです。爺さんの杖の音が耳から離れない。
芥川賞ってよくわからないんだけど(あはは)純文学もよくわからないんだけど
これは好きと素直に言える。
「火花」 又吉直樹
素直に好きと言えなかったのがこちらの大ベストセラー!
ねーねー、本買ったみんなー!ホントウにちゃんと最後まで読んだ??
村上龍が選評で言ってたけどちょっと長いじゃん。
山田詠美が選評で言ってたけどかなりウエルダンじゃん?
(これ以上いくとTOO MUCHな感じ?)
コトバ結構難しいし、文体もいかにも純文学だし・・・
何故これが100万以上(単行本と文芸春秋足したらそうなるよねきっと)の人が読んでるのか
日本人は何故突然こんな「高尚」な文章を愛でるようになったのか・・・
あ、意地悪っぽいですか(笑)
あたしは、正直よくわかりませんでした。
でもね、部分部分がすごい強烈なの。
神谷先輩の彼女真樹さんのその後のシーン、泣けるのよ。
もうキラキラしてて美しくて、主人公と完全にオーバーラップして。
スパークス(漫才コンビ名)のラストライブ、泣けるのよ。
冒頭の地味?なライブシーンとのコントラストがすごくて
小説なのに生で見てる感じ?になるくらい、汗とか熱気がページからあふれる感じ。
漫才の内容も途中からわけわかんなくなるんだけど(笑)
観客と一体化して寂しさと懐かしさと愛着とがいりまじってぐぐっときます。
合間ところどころに主人公をとりまくシーン描写にカップルがよく出てくる。
心中しそうな暗い感じとか、花火大会でプロポーズする幸せいっぱい!な人たちとか。
そのあたりの文章がすごく好きだった。
神谷さんが強烈すぎて(笑)最後なんてもうしんどくなってしまうけれど
まあなんていうかここまで壊れちゃうとそれがまた狂気でありコメディーなんだろうなって。
嫌とかいいながらちょっと癖になる感じ。
エッセイとは全然違う。(本屋で立ち読みした程度ですが)
エッセイは語り口が優しくて、人を大事にするお方なのねぇとか思ってしまう。
「本が好き」っていう「読書仲間」っぽい感覚でテレビ見てたから
突然作家になられてちょっとまだ慣れないのか(って全然知らない人ですが)
あたしも好きな太宰とか芥川が恐ろしい程詳しいし、
バラエティ番組で尾崎放哉の俳句がさらっと出てくる辺りなんか「ううーかっこええ!」
と痺れてしまう。
彼の「太宰ナイト」行ってみたい・・・。
そして今読んでるのが
「気にしない練習」 名取芳彦
ノンフィクション、とりわけ「自己啓発」ジャンルは不得意なんで
めったに読まないのだけど、最近ほんと「気にしい」になってしまい
ついついつっかかって、仲良しだった人と関係が壊れかけてたりして
そこをどうにかしたいと思って手にとった・・・・
のは後づけ。
昨日のゲリラ豪雨で雨宿りするべく飛び込んだのが本屋で、なかなかやまなくて
なんか買おうかなと思ってこの本のジャケの色がものすごく微妙な色で(ジャケ買いよくする)
「気にしない練習」なんてありえないし・・・とか天邪鬼的な感じで買いました。
あはは。
でもこないだ奈良に行って猿沢池淵でぼーっとしてたので
「手を打てば、鳥は飛び立つ、鯉は寄る、女中茶を持つ、猿沢の池」という法話紹介には
そうだなぁと感心。みんな共通の世界に住んでると思ってるし、同じものをみていると
思っているけどそれは別々のものである。一つの音(旅館で客が手を打った音)でも
受け取り方は千差万別、それを理解して時にスルーするってことなんだろうな
ってのは理解しました。
(「手を打てば はいと答える 鳥逃げる 鯉は集まる 猿沢の池」の方が主流みたい)
「気にしい」治るといいけど。
それ以外に
直木賞シリーズで
ホテル ローヤル 桜木紫乃
ラブホが軸になったオムニバスでちょっとずつつながってるっていう
手法の短編集。さらさら読めてしまいました。
どういうわけか一番ホテルローヤルと関係なかった「せんせぇ」っていうのが
印象に残ったわ。寂しい。さびしい。悔しい。どうしよう。でも仕方ない・・・。
何者 朝井リョウ
人気者リョウくん作品は青春色が強くっておばちゃんには遠い世界過ぎたのか
(「桐島・・」はキュンキュンできたんだけど)全然入ってこなくて・・・多分タイミングが
悪いのね。そして就活やってなかったからなぁとか色々言い訳をして・・・
きっと「今」ではないので「来るべき時」まで待機していただこう。
何故かワーワー夜中に泣いたのが
「ちょっと今から仕事やめてくる」 北側恵海
局辞める時、最後にちょっとつらいことがあったからか?
その時はガマンして一度も泣かなかったからか?
2時間足らずでハイボール2杯で読み終わったくらい
すいすい読めちゃう(会話多いし)お仕事話なんだけど
しかも営業職とか全然わからないし
内容も(多分酔ってたから)うろ覚えなんだけど
なんだろうか、読後感がいい。のだ。
強烈だったのは
「なめらかで熱くて甘苦しくて」川上弘美
この方の文章はもうね、なんなの。
最後のmundusはフランスのアート系映画よろしく
わけわかんないんだけどスタイルが抜群でもうこれこそ
文学なのね!としか言いようのない川上ワールド。
ぬめっとしててあったかくて怖くて懐かしい。
ところどころに出てくる / っていうマークは何??
こういうのが純文学なんだろうね。
わかろうとしてはいけない。
圧倒されるだけ。
本当は全く得意ではないんだけど次は
三島の「命売ります」を読もうかなーと。
秋になったら朗読会多分二つくらい都内でやります。
日本語と英語と。
会場は杉並某所。小さい小さいところです。
青谷のやりたい形がようやく見えてきたかな。
半年経ってじたばたしたけど
いろんなものが削げ落ちてきて
精神的にも無になれた(ような気がする)ので
そこからちょっとずつ積み上げていこうかと。
セミナーは9月にあります。
10月にワークショップやって東京はこれで年内おわり。
12月に名古屋でワークショップやりたいなと思ってます。
来年のこと考えるにはあまりにもまだ早い。
そして暑い。
秋風吹いたら考えよう。
アイスをとりあえず食べよう。
そして走ろう。
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