ビールと竹造
- 2011/07/21
- 10:51
祝杯をあげすぎてとうとうジャケットのボタンが止まらず
なんと「輪ゴム細工」で本番をしのぐ羽目になってしまった
「なでしこに乾杯」ならぬ「なでしこに完敗」な
Greenvaleでございます。
そんなことはさておき・・・
先日俳優の原田芳雄さんがお亡くなりになりました。
心よりご冥福をお祈りします。
私は沢山作品を拝見しているわけではないのですが
とても寂しい気持ちになりました。
私にとって原田さんは井上ひさしさん原作「父と暮らせば」
の「竹造」だからなんです。
数年前に、英語朗読を通じて
井上ひさしさんのご友人であり、翻訳家(作家)でもある
Roger Pulversさんと
ひょんな事からお仕事をご一緒させて頂けることになり、
そのご縁で3年前にこの「父と暮らせば」の英語版の
オーディオドラマを制作するという幸福に恵まれました。
"The Face of Jizo"というのが英語タイトルです。
このオーディオドラマでは
恥ずかしながら私が「美津江」、
私の朗読のお師匠さんの英国人俳優さんが
美津江の父「竹造」でした。
演出をしてくれた人が
映画「父と暮らせば」を薦めるので
台本を片手にDVDを拝見しました。
まず最初の印象は・・・
「宮沢りえちゃんと同じ役をするのか・・・」と
いう自分への失笑。
(本当にすいません。)
でもね、でもね、美津江は原作では
「そんな人がたまげてのけぞうような美人じゃなー(ない)」。
りえちゃんが原作以上に可憐すぎるのです・・・。
広島弁もかわいくてたまらない愛おしさです・・・。
それはそれとして、
この作品で何より圧倒されたのは
原田芳雄さん扮する「竹造」の
存在感、
おちゃめっぷり
そして迫力。
真ん中あたりに出てくる
「エプロン劇場」のシーンは圧巻です。
夢に出てきましたもん!
井上ひさしさんによって紡ぎだされた言葉が
原田さんの演技で、原爆によって変形した瓦が本当に
とげとげになっていくのがわかるのです。
原爆投下から3年たった広島を舞台にした
悲しい話なはずなのについ笑ってしまうシーンも満載で
「世界にヒロシマ」を伝えるのにはこの作品しかない
とあらためて感じたものでした。
あ、ちなみにこの映画、
NHKBSプレミアムで8月7日22:00~に放送されるみたいです。
戯曲に忠実な作品なので井上ひさし節を
全編にわたって楽しめます!
そしてこの原作本の英語版
"The Face of Jizo" も素晴らしいです。
![tititokuraseba_eigo[1]](http://blog-imgs-45.fc2.com/g/r/e/greenvale/2011072021452734fs.jpg)
この英語タイトルもお見事で、
作品の鍵ともなるJizoをここに持ってくるか!と
感動したのを覚えています。
こまつ座よりバイリンガルブックとして販売しています。
日本語作品の魅力の一つである方言は当然ないんですが、
英語でHiroshimaを知る上で、
そしてHiroshimaで生きた人々を感じる上で、
また、Hiroshimaを海外の方に伝える上においては、
これ以上の作品はないんじゃないかとすら思います。
父と娘の会話のみで成り立っている作品なので
言葉はシンプルですし
原作の対訳という形になっていますから
英語があまり得意という方でなくても十分enjoyできます。
美津江の生活を通して
当時の日本の姿が英語を通してもくっきり見えてきます。
端々に出てくる竹造さんの(おとぼけ)ジョーク、
美津江が大好きな「木下」さんに作っている
おもてなし料理の数々(ビール!・じゃこ味噌・かやく飯等)も
「英語でこういう風に説明できるんだ!」という
パルバースさんの名訳にも脱帽することしきり。
何より、
会話=生きた言葉であるが故に
美津江の気持ち、竹造の感情、
全てが非常に生々しく、
声に出してみるとよりいっそうそれが強調され、
1945年の夏が自分の中でよみがえってくると思います。
そして
「生き残った」人の葛藤にも気付かされます。
井上ひさしさんが本の最後に
この作品の主題についてこう書かれています。
「・・・すべての身寄りを失った若い女性がいて、
亡くなった人たちにたいして、
『自分だけが生き残って申し訳がない。
ましてや自分がしあわせになったりしては
ますます申し訳ない』と考えている。
このように、自分に恋を禁じていた彼女があるとき、
ふっと恋におちてしまう。
この瞬間から彼女は『しあわせになってはいけない』
という自分をいましめる娘と
『この恋を成就させることでしあわせになりたい』と願う娘とに、
真っ二つに分裂してしまいます。」
3月11日の震災後、
懸命に生きてらっしゃる方々の中には
「美津江」がいるんじゃないか、
そう思いました。
「竹造」の優しい言葉、叱咤激励、真実の声によって救われる方も
もしかしたらいるんじゃないかと。
もうすぐ8月です。
悲しいだけじゃない、勇気と笑顔もくれるこの作品を
また読んでみようと思っています。
できればビールを飲みながら・・・!?
竹造に乾杯!
なんと「輪ゴム細工」で本番をしのぐ羽目になってしまった
「なでしこに乾杯」ならぬ「なでしこに完敗」な
Greenvaleでございます。
そんなことはさておき・・・
先日俳優の原田芳雄さんがお亡くなりになりました。
心よりご冥福をお祈りします。
私は沢山作品を拝見しているわけではないのですが
とても寂しい気持ちになりました。
私にとって原田さんは井上ひさしさん原作「父と暮らせば」
の「竹造」だからなんです。
数年前に、英語朗読を通じて
井上ひさしさんのご友人であり、翻訳家(作家)でもある
Roger Pulversさんと
ひょんな事からお仕事をご一緒させて頂けることになり、
そのご縁で3年前にこの「父と暮らせば」の英語版の
オーディオドラマを制作するという幸福に恵まれました。
"The Face of Jizo"というのが英語タイトルです。
このオーディオドラマでは
恥ずかしながら私が「美津江」、
私の朗読のお師匠さんの英国人俳優さんが
美津江の父「竹造」でした。
演出をしてくれた人が
映画「父と暮らせば」を薦めるので
台本を片手にDVDを拝見しました。
まず最初の印象は・・・
「宮沢りえちゃんと同じ役をするのか・・・」と
いう自分への失笑。
(本当にすいません。)
でもね、でもね、美津江は原作では
「そんな人がたまげてのけぞうような美人じゃなー(ない)」。
りえちゃんが原作以上に可憐すぎるのです・・・。
広島弁もかわいくてたまらない愛おしさです・・・。
それはそれとして、
この作品で何より圧倒されたのは
原田芳雄さん扮する「竹造」の
存在感、
おちゃめっぷり
そして迫力。
真ん中あたりに出てくる
「エプロン劇場」のシーンは圧巻です。
夢に出てきましたもん!
井上ひさしさんによって紡ぎだされた言葉が
原田さんの演技で、原爆によって変形した瓦が本当に
とげとげになっていくのがわかるのです。
原爆投下から3年たった広島を舞台にした
悲しい話なはずなのについ笑ってしまうシーンも満載で
「世界にヒロシマ」を伝えるのにはこの作品しかない
とあらためて感じたものでした。
あ、ちなみにこの映画、
NHKBSプレミアムで8月7日22:00~に放送されるみたいです。
戯曲に忠実な作品なので井上ひさし節を
全編にわたって楽しめます!
そしてこの原作本の英語版
"The Face of Jizo" も素晴らしいです。
![tititokuraseba_eigo[1]](http://blog-imgs-45.fc2.com/g/r/e/greenvale/2011072021452734fs.jpg)
この英語タイトルもお見事で、
作品の鍵ともなるJizoをここに持ってくるか!と
感動したのを覚えています。
こまつ座よりバイリンガルブックとして販売しています。
日本語作品の魅力の一つである方言は当然ないんですが、
英語でHiroshimaを知る上で、
そしてHiroshimaで生きた人々を感じる上で、
また、Hiroshimaを海外の方に伝える上においては、
これ以上の作品はないんじゃないかとすら思います。
父と娘の会話のみで成り立っている作品なので
言葉はシンプルですし
原作の対訳という形になっていますから
英語があまり得意という方でなくても十分enjoyできます。
美津江の生活を通して
当時の日本の姿が英語を通してもくっきり見えてきます。
端々に出てくる竹造さんの(おとぼけ)ジョーク、
美津江が大好きな「木下」さんに作っている
おもてなし料理の数々(ビール!・じゃこ味噌・かやく飯等)も
「英語でこういう風に説明できるんだ!」という
パルバースさんの名訳にも脱帽することしきり。
何より、
会話=生きた言葉であるが故に
美津江の気持ち、竹造の感情、
全てが非常に生々しく、
声に出してみるとよりいっそうそれが強調され、
1945年の夏が自分の中でよみがえってくると思います。
そして
「生き残った」人の葛藤にも気付かされます。
井上ひさしさんが本の最後に
この作品の主題についてこう書かれています。
「・・・すべての身寄りを失った若い女性がいて、
亡くなった人たちにたいして、
『自分だけが生き残って申し訳がない。
ましてや自分がしあわせになったりしては
ますます申し訳ない』と考えている。
このように、自分に恋を禁じていた彼女があるとき、
ふっと恋におちてしまう。
この瞬間から彼女は『しあわせになってはいけない』
という自分をいましめる娘と
『この恋を成就させることでしあわせになりたい』と願う娘とに、
真っ二つに分裂してしまいます。」
3月11日の震災後、
懸命に生きてらっしゃる方々の中には
「美津江」がいるんじゃないか、
そう思いました。
「竹造」の優しい言葉、叱咤激励、真実の声によって救われる方も
もしかしたらいるんじゃないかと。
もうすぐ8月です。
悲しいだけじゃない、勇気と笑顔もくれるこの作品を
また読んでみようと思っています。
できればビールを飲みながら・・・!?
竹造に乾杯!
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